馬鹿力本能 T.O.P #1
~アンダーグラウンドで指おり数える ラッパーになろう!~
その時は歌手という夢を育てるよりは『アンダーグラウンドで有名なラッパーになろう』
という、意地があった。
実際オーバーグラウンドで実力を認められるラッパーは少数に過ぎなかったから・・・
真のラップをしたいなら ここアンダーグラウンドで誠のヒップホップをしなければ
ならないという考えに捕らわれていた。
そうして高校2年の頃、公演したクラブでガールフレンドと出逢い交際するようになった。
YGエンターテイメントに入る頃までの1年ほど彼女とは付き合った。
俺よりも年上の彼女の周りには華やかな大学生らが多かったので、格好良くみせて
いたかった。彼女の前で未来のビジョンを話す俺の声には、ますます強い確信が
湧いてきた。
誰かに自分の夢を・・・ 声に出し説明するその間 その夢の実体が更に確かなものに
なっていく・・・そんな感じがした。
認められるラッパーになりたいという漠然とした考えの中に込められている、俺の
情熱の存在を自分が思っていたことより、はるかに大きいという事実を発見すること
になった。
その時初めてTVに出てくるラッパーになろうという考えにもなった。
デモCDを作って ジヨン(G-Dragon)に渡すように仕向けた直接的なきっかけは、
その彼女の計算だった。
結局YGに入って、会ってから1年程しか経っていなかった彼女とは
別れてしまったけれど。
運良くYGの練習生に入ることができた。
初めて練習生になって考えた事は『ラップを思い切りすることができる』という
期待感だった。
作曲家らと直接作業しながらラッパーになることができるという期待に胸を膨らませ
ていた。
そして練習生生活を持続しながらラッパーとしての夢と共にプロデューサーとしての
夢も徐々に湧き始めた。
ヤン・ヒョンソク代表のようにヒップホップや黒人音楽分野の志望生らに
'よりどころ' を作って思う存分 翼を広げてやれるようにしてあげたいという
抱負を持ったのだ。
プロデューサーとしての力量を積もうとするなら俺自身が、その状況を直接経験しその過程を
体験しなければならないと考えたので、ラッパーあるいは歌手としての段階を
きちんきちんと経験して行こうと計画もたてた。
ところがいざ実際に練習生時代の終止符を打つ最後のオーディションを控えることに
なった時、期待したこととは全く違う現実が目の前に繰り広げられた。
グループを作る予定だという事、そしてそのグループ活動には踊りが必ず必要な要素 だと
いう事、そして更にはグループメンバー選定過程をドキュメンタリーで撮るという事。
その3つすべてが俺に衝撃を与えた。